レインボーノッツ合同会社

SOGIE/ LGBTQ+ コラム

(6) アウティングについて

アウティングとは、本人の了承なく、性的指向や性自認(SOGI)を第三者に勝手に暴露する行為を指しています。

■ 自分に話してくれたからといって、周りに勝手に伝えて良いわけではありません。

例えば、「職場でカミングアウトしたら『あの子はレズだから気をつけろ』と周りに言いふらされた」というケース。偏見がない人かもしれないと相手を信頼して、その人にだけ伝えたつもりだったのに……いつの間にか周りに噂が広まってしまった、というものです。
いつ、誰に、どのように伝えるかは、LGBTQ+当事者ご本人が決めることです。例えば、職場の誰かから、病気や不妊治療について、相談があったとして、それを皆さんはご本人の了承なく、周りに話してもいいとお思いになるでしょうか。性的指向・性自認(SOGI)に関しても同様に、自分に話してくれたからといって、他の人にも話して良いという勝手な判断をしないようにしましょう。

あるいは「ある時上司から、『プロジェクトリーダーにゲイであることを伝えておいたから』と言われた」という事例もあります。上司には確かに伝えていたものの、他の誰かに伝えるとは事前に何も聞かされておらず、ご本人は心底驚いたというケースです。上司として果たして適切な行動といえるのでしょうか。

■ 性的指向・性自認(SOGI)は大切な個人情報

LGBTQ+の人たちの多くは「普通であること」を装って自分の身を守っていますが、こうしたアウティングによって自分のセクシュアリティ、いわば、ゲイであることやレズビアンであること、トランスジェンダーであることなどが暴露されてしまうと、強い不安を抱えたり緊張状態を強いられます。

アウティングはプライバシーの侵害でもあり、暴露されてしまったことによって、命を絶つ人もいる重大な問題です。様々な事情を抱える社員に対する対応と同様に、性的指向や性自認(SOGI)に関わる情報も、大切な個人情報の一つであると、認識を変えていきましょう。

五十嵐 ゆり

1973年東京都生まれ。2012年、LGBTQ支援団体Rainbow Soupを発足。2015年3月にNPO法人化し、レズビアンであることをオープンにする。2015年7月、アメリカ国務省主催のLGBTプログラム研修生に選抜され、全米各地を訪問。2017年8月、オランダ・アムステルダム市より招聘を受け「international guests Amsterdam Pride 2017」プログラムに参加。
2018年、レインボーノッツ合同会社を設立。当事者としての経験や最新情報などをベースに、企業・自治体のSOGI・LGBTQ施策支援・社外相談窓口対応を展開。2019年〜2023年6月まで一社LGBT法連合会理事を務める。2023年4月より、NPO法人プライドハウス東京 共同代表に就任。

  • 一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所 認定トレーナー
  • 筑紫女学園大学非常勤講師